その夜のことだった。

月明かりに照らされた、博物館の中で、何度目かの、侵入者を知らせるベルが鳴り響いていた。

「やはり、故障ですかね。

それとも誰かのいたずらか」

最初のベルで駆けつけていた警備会社の人間と、博物館の夜間警備員が話し合っていた。

「とにかく、警備を厳重にした方がいいですね。

会社から、応援を呼びます」

「そうしてもらえるか」

警備会社の人間は、少しの間、博物館の警備員の前から姿を消した。