師匠はコスプレ☆メイ探偵

少し、冷静になったようだ。

「大事なものだったんですね」

「ええ。父から母へ送られたものをわたくしがもらったのです。

今では母の形見です」

「お母さんは亡くなられたんですか」

「いえ、ピンピンしてますわ」

 類は微かにつんのめった。

 じゃあ、形見って言うな。

「もう一ついいですか?

旦那さんは、一旦寝たら起きない方ですか?」

「ええ。とび蹴りしても起きませんわ」

 よほどとび蹴りをしたい衝動に駆られる寝ざまなんだろうな。

 類は苦笑した。

「ありがとうございました。もう結構です」

 奥さんは、類に未練を残しつつ、去って行った。