安西は目に見えて落ち着きをなくした。

「ええ、そんなことはなかったです。ただ」

「ただ?」

 師匠が促した。

「つい、ウトウトっとはしました」

「どのくらいの時間でしたか?」

 師匠は訊いた。

 そんなの正確に覚えててウトウトする人なんかいないと思うケド。

 類は心の中で突っ込んだ。

「それはよく分かりません。

十分くらいだった気もするし、一時間以上だった気もします。

ああそうだ。

借りてきたDVDを見てました。

二時間半くらいのやつです。

確かクライマックス近くまで見た覚えはありますが、気が付くと再生が終わっていました。

三十分くらいは巻き戻して、もう一度見ました。それから、包みが軽いことに気付いたんです」