そんな流れで、一人づつ応接間に来てもらうことになった。

 喧嘩を続行されたり、話を合わせたりされるといけないので、後の二人は別々の部屋で待機してもらって、それをトキが監視していた。これでこっそり会ったりできないし、三人から携帯を一時預かって連絡を取り合ったり出来ないようにした。

 そうして、一人目の証言者、安西が、類と師匠の前で話すことになった。

「なくなったのに気付かれたのはいつですか?」

 類が訊いた。

「電話をした直前です」

 師匠はトキの携帯を開いて、着信の時間を調べた。

「午後五時頃、ですね」

「そうだと思います。

舞い上がっていたので、時間までは覚えてないですが。

とにかく、懐の宝石が急に軽くなった気がして、確かめると、すでに包みは軽くなっていたのです」

 類は安西の喋る顔をじっと見ていた。

 ウソをついてるようには見えない。けれど、何か隠しているような気がする。

類は口を開いた。

「なくなるまでの間、何か変わったことはなかったですか?

例えば、誰かに殴られて気を失ったとか、何か飲んだ後で無性に眠くなったとか」