でも、懐から消えた以上、持っていた安西が一番怪しいということになる。

 類は考えようとして、ハッと思い出し、ポケットからキャラクターの付いた小さな蓋付きの缶を取り出した。

 それを開けると、裸のままで放りこんである錠剤を、微妙な形で選び分けて手に取った。

 アナフラニールにテトラミド、レキソタン。

晩御飯後だからパキシルと副作用の便秘を改善するピンクの小粒も。っと。

 類はそれを口に放り込むと、肌身離さず持っているペットボトル型水筒に入った水で飲み込んだ。

 ついでに、カラカラだった喉も湿らすことが出来た。

「ここから結び目を解かずに取り出すのは至難の業ですね」

 師匠が包みを手に取って、眺めているところだった。

「しかし、一旦包みを解いておいて、元とそっくりに結んだのかもしれない。

とにかく、ここでいがみ合っていても埒が明かない。

一人一人順番に話をうかがいたいのですが」