「そうだろう。

私は自分が疑われないように、包みは開けなかったのだ。

けれど、明らかに軽くなっていることは分かった」

 類は疑わしく安西を見た。

「包みをほどいてバラの花びらなんて変わったもんが出てきたら、なんかの仕掛けだと気付いて、元通り結び目に忍ばせておくんじゃないかなあ?」

 類が呟くと、土岐ははっとしたように類を見た。

 まさか、それに今頃気付いたんじゃ

 類は呆れて、感心した顔で自分を見ている土岐を見た。

「だからこの二人が犯なの人よ。そっと中身を抜き出して、売ったに違いないわ。

二人で逃亡してどこかで一緒に暮らすための資金にするために」

「いや、だから、誤解もいいとこですってば。

そんなこと疑われるくらいなら、私が一人でルビーを盗んだって言われる方がマシです」

 モエギがきっぱりとその説は否定した。