教室には自分しかいないと思っていたのに、いつの間に!?

 しかもその女の子…

「…」

 無表情のまま、ジッと恵理香を見つめている。

 いったい、誰?

「誰、アナタ!?」

「…」

 え?

 何故か女の子、黙り込んだまま返事もしない。

「私に何か、用なの?」

「私…、茅島美紅(カヤシマ、ミク)」

 茅島美紅?

「見かけない顔だけど、どこのクラス?」

「2年F組」

「ココはC組だよ?」

「分かってるわよ」

「何か、用なの?」

「北村さんに言っておきたい事があって…」

「何?」

 恵理香は思わず緊張してしまい、その場に立ち尽くした。

 美紅は傍の机に直接座り込み、窓の外に視線を向けたまま語り始めた。

「国武涼子ってコが亡くなって、北村さんはホッとしているようだけど…」
 ドキッ!

 息を呑む恵理香。

「な、何の話し?」

 惚けたフリをする恵理香を無視して、美紅は話しを続けた。

「そのコは今も、アナタの事を思い続けていると思うから」

「だから、何の話し!?」

 相手は更に、話しを続ける。

「アナタが忘れようと思っても、そのコは絶対にアナタを忘れないわよ」

「何が言いたいの!?」

「アナタはずっと、そのコからは離れられないって言いたいだけ」

「私をからかっているの?
 …って言うか、アンタだーれ? 涼子と何か関係あり?」