数分後…

 A交差点の現場は騒然となった。

 野次馬が見回る中、警察による検証が始まっている。

 恵理香は担架に寝かされ、救急車に乗せられた。

 大丈夫…

 幸いにも、命には別条なく奇跡的に軽いケガで済んでいる。

 走り去る救急車を見つめるのは…

 美紅と涼子の2人の霊。

 涼子がとても不満そうな顔をしている。

「どうして…、私の邪魔を…したのよ? せっかく…恵理香と一緒になれると…思ったのに」

 …とまあ、気持ちが治まらない様子だ。

 そんな涼子を、美紅は冷ややかな眼でみている。

「一緒になって、どうするの?」

「あのコは…私の友達」

「それはアナタの一方的な思いでしょう? 北村さんはアナタの事は大キライなんだし。もし、こっちの世界に引きずり込んだとしても、アナタは彼女から…敬遠され続けるだけよ」

「…」

「サァ、行きましょう」

 ポンと涼子の肩を軽く叩いた美紅。

 2人はこの後、闇の世界へと消えて行く。

       完