「ここが仮部屋か。」 「居鈴にいわれた。」 「忘れたよ。」 ごすっ! 勢い良く手毬をぶつけられ、住吉は鈍い悲鳴をあげた。 「なんだ、手毬遊びか。古臭いもんをやってるんだな。」 武道の師範とは思えぬことを言いながら、山田はまだ土が付いた顔でにかっと笑い、住吉にぶつかって畳の上に落ちた手毬を拾うと、軽く放り投げては落ちてくるのを掴むという事をし始めた。 数回それをして、手毬を取り落とした時溜息をついた。だがすぐ笑い顔になり、手毬を拾いながらこちらを向いた。 「古臭くても面白いかもな。」