この世界の話をしよう。
何年か前、あれは小学校の卒業の年だったから5年くらい前になる。
あいつらはこの世界、「日本」にやってきた。
その日、私たちは一日動けなかった。
本当にそのままの意味で体が動かず、ただ、瞬きの自由だけ与えられた。
そしてそのまま一日がたち、テレビのチャンネルがすべて国民放送になっていた。
ただ事じゃないと思った全国民はテレビにかじり付いたに違いない。



「全国民に告ぐ、今からここは人魚と人が共存する国だ」



テレビに映ったそれは人魚と名乗るそれと天皇陛下が少し怯えて手をつなぐ絵だった。
そして私たちの生活は少しずつ変わった。
まず、学校のクラスメートに人魚がいる。
見た目は人と変わらないがどこか雰囲気と、あと私たちを下等な生き物だと思っている、あの目。
人魚が悪いことをしたとしても先生は注意しない。
そして無実な私たちを叱る。



「この前起きた行方不明の事件、人魚が関わってるらしいよ」



そんな噂話をした子はつぎの日、行方不明になっていた。