アナタだけのお姫様


 
「本当にバラバラ……」


 きちんと歯磨きをし、ホールへと向かう途中、廊下に陳列された様々な甲冑や像を眺めながらそう呟く。


 重く固いホールの扉をゆっくりと開けると、演奏会の時の飾りが全て外されていた。


 ポツンと佇むグランドピアノが悲しそうに見えてくる。



「何を弾こうかな……」


 思いつきながら弾くのは、いつも日和の好きな曲ばかり。


 どんだけ妹思いなんだ、俺は……?