アナタだけのお姫様


「あー、やっぱり門のところで待ってるわ」


 きっと、ひなの事言ってるんだよね?


「ここでいいよ! ありがと……」


 侑也の背中を見送った後、意を決して歩き出す。



 本当は顔を見たくなかった。


 怖くて怖くて、泣いちゃいそうだった。


「日和!!」


「……ただいま」


「連絡するって決めたでしょ? 充電切れてないでしょ?」


 確かに……何度も何度も携帯が鳴っていたけどムシした。


 音楽は鳴らなかったけど……



 バイブだったし侑也も気付いてたよね、きっと。