アナタだけのお姫様


「もう暗いし、送る」


 あたしの泣きが治まった後、侑也がポツリと呟いた。



 窓から空を見ると、もうすっかり夜が更けていた。


 真っ暗い闇の中に浮かぶ月が、ちょっとキレイだったりして。


「目がしょぼしょぼする」


「そりゃ……あんだけ泣けばね」


「意地悪だな」


「ね、たくさん泣いたら後は笑ってればいいからさ。忘れんな」


 侑也のバイクに乗ってる時、またあたしは全てを忘れることが出来た。