アナタだけのお姫様


 バカらしくて笑えてくる。



 つーか侑也といると笑顔にしてもらえる……
 

 あたし、ズルイ?


 別に侑也に逃げてるわけじゃないんだけどさ。


「これでよかったかもよ」


「何が……?」


「兄離れする、決心できるいい機会。もう少ししたら日向も引っ越しちゃうし」


「引越しのこと、聞いたの?」




 マドレーヌをごくりと飲み込みながら侑也は答える。


「まぁ、本人から軽くね。日和を宜しく、だってさ」


「よろしく?」


「俺たちが婚約者っての、日向知ってたはずだけどね」


「……そうなんだ」