アナタだけのお姫様


「それで、それでさっ……女がね、ひな君って、そうね、言ってたのも聞いたの!!」



 一瞬、侑也の顔が険しくなったのは気のせいなのかな。


「でもっ、理沙じゃないからっ、少し安心したけど……、でもでもあのチビ女だった……」



「そっか……」


 侑也はゆっくりと立ち上がると、あたしの所まで歩いてきた。


 そして、あの時みたいにハンカチを差し出してきた。


「いらんもん!」


「はいはい……んじゃまた口で涙拭いてあげよっか?」


 いたずらっぽく笑う侑也の顔にはいつもドキリとさせられる……