アナタだけのお姫様




 少しすると、バイクの唸る音が聴こえてきた。


 そっちのほうを向くと、あたしの目には結構なスピードで走ってくる黒いマジェが映り出された。


 あたしの立ってる所の少し手前で止まり、ヘルメットを外したそいつは、確かに侑也。


「来てくれたんだね?」


「はぁっ!? 行くって言ったじゃん?」


 凄い急いで来てくれたんだね……


 バイクに乗ってたのに凄い息が上がってるんだもん。


「どした!? 泣いただろ! 目が赤すぎ」


「へへへ」


「笑い事じゃないって。しかもコート着てないじゃん!」


「慌てちった」