「っ、ひな君っ――」 なんてさ、なんてさ、聞こえてきたんだもん。 夢だって思ったよ? 頭が真っ白になっちゃったし、部屋に女が居るなんて……それに、ひな君って呼ぶのって二人だけだよね。 「西塚……か、理沙」 震える足をなんとか動かし、ゆっくりと自分の部屋に入る。 何、なんで手まで震えてるの? 落ち着け――落ち着け、大丈夫。