アナタだけのお姫様

 
「ひな部屋にいるのか」


 そーっと部屋に近付き、呼んでみるけど返事が無い。


「ひなぁ?」


 もっと大きい声を出したいけど、そんな元気あったら早退してないって。


 少しすると、また変な物音――そう、ベッドが軋む様な音が聞こえてきた。


「むむむ?」



 そーっと扉に耳をつけ、聞き耳を立てる。


 ……んだけど、聞かなきゃ良かった。