アナタだけのお姫様




「チッ。女っていちいちだりーな」


 化粧をしつつ、文句も言いつつ、髪の毛を巻く。


 若干失敗しても、片側をねじり上げてピンで留めちゃえば誤魔化せるわけで!


「ひよりぃー! 玄関に居るからねー!!」



 王子の美声が飛んできたので更にピッチを上げる。


 ――ちゃんと終わった頃には、ギリギリもいいところの時間だった。


 バイト先まで遠くないのが救いかも。