「岸本さん……? ねぇ、一人みたいだし乗せていってあげようよ」 ひなのその提案に、首を振って主張したけど無駄だった。 だってお手伝いさんは車を止めちゃったんだもん。 「岸本さん! ね、一緒に乗って行く?」 車の窓から顔を出したひなに、陽子ちゃんは一瞬きょとんとしたものの、すぐに極上の笑顔になった。 ――あたしは絶対イヤなのに。 「ありがとう! ねぇねぇ、いつもこうやって車で来てるの?」 「うん、遠いし危ないからって父さんが言うからね」