アナタだけのお姫様

  
「ずいぶんゆっくりしてるけど、髪の毛やらなくていいの?」



 ――言われて気がついた。

 ひなと並んで歯磨きなんて幸せすぎる時間があったせいで、すっかり忘れてたわ。


「急いでやってくるー!!」


「はいはーい」


 あたしは出掛ける時もバイトの時も、ちゃんと髪を巻いていくの。



 すっげーめんどくせぇ……。


 なんて事を考えながら、大急ぎで階段を上る。


 右に曲がって突き当りがあたしの部屋。