「パンプ!あなた凄いわよ!」



エバが書類を持って部屋へと入ってくる。


 「まったくたいした才能よ!レコーディング五分前に作った曲がベストセラー!
あなたが歌うんですもの。この曲、歴史に残るわ!」

今君はどこにいてなにをしてるんだ?
ご飯は食べられてるのか?
君の事だから俺が手を引いてあげないと、すぐにこけてるだろうな…


ラヴ…

 「それからもう一つのニュース!ジャンの曲、『ウエディング』がテーマだったんですって!」

結婚式。

俺とラヴが上げるはずだった。

約束ー…したのにな

 「ああ…」

 「もう、前に言ったじゃない!プリンセス、ラヴ・シュテファン・フォン・アリーナとロシアフィーの跡取りが電撃結婚するって」


たまたまプリンセスの名前がラヴ…
奇遇だな。

つらさが身にしみる。
そんな簡単に結婚できれば…


 「ごめん…ここずっと探しているのがあって」


俺の左手の薬指に光る指輪。
エバはもう気付いている。

でも、何も言わない。

 「…っ今日の式でジャンが棒を振るんですって。お祝いついでにプリンセスの結婚式に出ましょうよ」

 「ああ」

 「新聞くらい読んでおいてよ。お祝いの言葉、何言うつもり?顔も知らないと思うけど、ある程度のことは知っといて」

 「ああ」

 「…あなた、心が抜けてもぬけの殻ね…」

そうかもな

ラヴに心をとられたのかもな…

俺は新聞をバサッと広げる。

「『知り合って1ヶ月で交際。2ヶ月で結婚…
プリンセスラヴ・シュテファンは国民にも信頼が厚く、本国ではレディ・ラヴの名でー…』」

俺はもう一度文を読み直す。
「レディ・ラヴ…」

「ああ、それ奇遇よね。あなたの新曲と同じタイトル。いい宣伝!」