本名をばらしたら終わりだわ。

きっと、すぐ連れ戻されちゃう…なんたって私は今、脱走中のプリンセスなんだから

 「レディ・ラヴ…ね。本名じゃなくてもぴったりじゃないか」


パンプはそういうと私の手を引っ張った。


 「ちょっとパンプ!レコーディングは?」


愛しい人を求める声。
でもね

綺麗なお姉さんにも譲れない特権。

わたしは


カレと今日一日過ごすのよ!



わたし達は鉄のさびくさい階段をおり、パンプが言う、秘密の通路へと入った。


 「パンプ!どこなの!?逃がさないわよ!」



スッと通りすぎていく綺麗なお姉さん。


わたし達は笑い合った。


 「では、レディ・ラヴ。どこに行きたい?」


紳士のような挨拶をするパンプ。


 分かってるくせに~!

 「あははは!」

顔を見るや否や、爆笑する彼。

 「遊園地!」

 「ハァ…かしこまりました!」


パンプはお辞儀をすると手を出した。



カレの姿は光に包まれ、ブルーアイの瞳が綺麗だった。


 「行こうか」

 「ええ!」


パンと音を立てて、手を取る。


わたしとパンプの


別にいいの。
ただの気晴らしに付き合ってくれてることなんか。
私は、ただ彼といれれば、よかった。