「パンプ~!あなた、またルジルとケンカしたわね!」
しっとりとした雰囲気を振り払うように思いっきり開く扉の音。
エバか…
大量の紙を持って現れたお姉さんは、バンッと机に一つの封筒を置いた。
「それが?」
「それが?…て。あの子!レコーディングにも着てないのよ?!それもあなたまで!あの子、気に入らないとすぐ行方不明よ!」
「で?俺はまたルジルが見つかるまでただひたすら待たないといけないわけか?」
もう飽きたよ
そんな毎日…
今月にはいってもう5回目。
やっぱり、いくら付き合ってもあわない奴っているんだよ
…刺激が欲しい。
「それは・・・今、事務所側の人間が手を尽くしてるわ」
「もうイヤさ!あんなくそ少年のために人生待ちぼうけを食らうのは!」
俺はパッと視線をそむけた瞬間、昨日の屈辱とともに、あることを思い出した。
―遊園地に行きたいの!じぇっとおーすたーにのりたいわー…―
―じゃあ。明日ルジルが約束すっぽかしたら一緒に行くか?どうせ暇だし-
―まあ!本当?!それ本当なの!?-
―もちろん、約束だ!―
―ええ!―
たしかこんな約束を夜、酔って言って気がー・・・
…失態だ。やってしまった…
「チッ…よし!小娘、来い!昨日の約束、守ってやる!まだ8時だ、夜遅くまで付き合ってやる!」
俺は着ていた準備万端のスーツの上を脱ぐと、ネクタイを緩めた。
そしてカチカチに固めた髪をグジャグジャにする
「まあ!本当?!パンプ、相当酔ってたから忘れてると思ってた!
そっちの方がカッコいいわ!ガチガチの髪の毛より、絶対そっちよ!」
「ま!あなたこんなところに?!」
綺麗なお姉さんは顔を青くして細かに震えていた。
やっぱりすきなんだ。
ごめん!
「小娘!名前を聞いていなかったな。名は?」
「ラヴ・シュテッ……レディ・ラヴと呼んで?」



