「いいさ」
「ありがと、嬉しいよ。記者たちが押し寄せてきてて作曲できないらしい。困った奴さ」
セルダはこっちを向いて、大きく深いため息をついた。
「ロシアフィー家の依頼か?どんな曲だ?JPOP?それとも…」
「内密だ」
内密ー・・・
それは、ジャンよりいい曲を作る奴が出てこられたら困るから
本人が口止めしたのかー…
「ジャンが口止め料払ったんだろ」
「正解。ピンポンピンポン!」
やっぱりな
アイツ…
あんなせこい奴だったのかー…?
なんだか、奴は変わった
悲しいよ
「それにロシアフィー家も部屋を用意できる状態じゃないらしい。そのせいで俺がこうしてお前に頼みにきたのさ」
部屋を用意できる状態じゃないー…?
「なんでもプリンセスがしっそ…とと!いや。金持ちの人間は困った奴等さ」
「……そうか」
「じゃあ、借りるぜ。また」
「おう」
静かに出て行くセルダを送り、振っていた手を俺はとめ、ゆっくりとおろした。
あーあ。
俺はやっぱり認められないのか
やっぱり天才って言われるほどの能力を持ってないのかー…。



