~ラヴ・シュテファン・フォン・アリーナ様です~
「ごきげんよう」
―――ワァァ―――
あ~あ。
やっぱり、どこにいっても同じ反応。
みんな目を丸くして、必死に拍手。
なんでプリンセスなんかに生まれてきたのかな、私。
普通の国民が良かった。
流行の歌を歌いたかった。
たった16歳で政略結婚?
どうかしてるわ。いまどき考えられない。
一般的に見れば、大公女と呼ばれる女の子がいること自体、おかしいのよ。
まるで、歴史の中から出てきたみたいじゃない。
~お写真をどうぞ。フラッシュはおやめ下さい~
フン…どうせ、フラッシュは変にうつるからでしょ?
何よ。どうせ、もう大公女じゃなくなるのに…
---バシャッ!カシャッ!―--
なんとか飛び切りの笑顔を振りまいた。
~皆様、プリンセスにご質問などあればどうぞ~
いきなりかぁ。
いつもどこかの国に飛べばかならず記者会見が引っ付いてくるんだものね。
めんどくさい。
「大公女ラヴ・シュテファン・フォン・アリーナ、プリンセスご自身の希望でわが国と来たわけですが、何のために?」
私が望んできたわけじゃないんだけど…
…きっとマロンね。
あーー!
バラしたいわ。マロンは性悪だってこと。
「この国は豊かでしょう?いろんな文化を学びたいんです!たとえば…うーんと…私、まだ16歳なので、知識が少ないんです。
すこしでも、知識を取り入れるため、ここに来ました」
「具体的には?」
「たくさんありますの。たとえば、医学・文学…あ。英文も知りたいですね!しゃべり、聞き取りは大丈夫なのですが、どうも英文は…」
手遊びをしながら答えると記者は呆気としていた。
取られ続ける写真のためにも、気は抜けない。
「それでは、プリンセス、滞在中は大貴族のロシアフィー家へと住むということなのですが、何か個人的な交際があると、我々は睨んでます。本当ですか?」



