彼女は、曲だけじゃなく



彼自身も愛してしまったんだわー…




 私もそうかも知れない。




彼の魅力に目がおかしくなっているわ
だって彼を見ていたらドキドキしてくるんだもの




ピアノを引いてるときの彼の顔は



とっても清んでいたわ


彼のあの瞳に



私は恋してしまったのねー…
 そう分かると、だんだんパンプのことを考えるのが恥ずかしくなってきた。

 「あら。ルジル」


女性は声を大きくして、荒く言った。

 「ハァイ。エバ、パンプは留守かい?」

 「NO」

 「グットラック、ルジルは行方不明と伝えなぁ!」


どういう意味かしら。


隠すつもりかしら?

何でかしら。




 …あ~ぁ!

デートがしたいわ!
色んなところに行って見たいわ!!

 「お?!彼女、可愛いね。デートでしないかい?」


デート?!


私の心を見透かしてるみたい!


彼、きっといい人よ!
テレビで見た!
パンプの曲を歌うんだもの!

大丈夫よ!

 「デート?!行くわ!」

ルジルと名乗る少年は私の手を取ると、階段をすごい速さで下りていった。

 「待って、ルジル!パ~ンプ!ルジルよ、ルジルが逃げたわ!」

 「なんだとぉ??小娘を連れてか?!あの野郎、絶対ゆるさん!縄でくくりつけてやる!」