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ravu side

彼はそういって私の背中を押した。


 「エバ!ルジルを見つけたら手足を縄で縛っといてくれ」


パンプは走って部屋を出て行ってしまった。

なんだったの?
歌手?ロック?って何?
歌手ってなんなの?箱入り娘って?


随分荒れてる方なのね。
想像と全然違う!

 「ごめんなさいね。彼、スランプで荒れてるのよ。いつもはああじゃないの」


あんぐりしている私の肩をポンッと叩いた綺麗な女性。
ニッコリと私に笑いかける、その唇に塗られたリップ。
おれを見て、私は自分が恥ずかしくなった。

 「ときどき子供に帰るのよ。
だだっこでただ曲作りが大好きだったあの頃にー…」


そんな私の重いとは関係なく語りだす彼女。
だからー…なのね



 「だからあの人の作る曲は優しくて誰からも愛されるのね」


あの人の曲を愛さない人なんかこの世にいないわ。


一度聞いてしまえば


ついつい歌ってしまう。



耳に残ってしまう。

涙を流す事も出来るし、笑顔を作ることも出来る、不思議な曲だわ。


 「え…ええ。その通りよ、心優しい小娘ちゃん。パンプの曲を聞いて誰もが愛さずにはいられないわ。
今じゃラブホテルにも彼の曲が流れるって聞いたわ」

 「ラブホテル?」


なにそれ?



ホテルには変わりないのね。 

 「なのにシャイ・ボーイはそれに気づかないのよ」
そういって彼女は頬を赤めた。

私はすぐにわかった。