何?

やんきーって見かけだけじゃないじゃないの。
とっても優しいじゃない!

マロンは何か勘違いしてるのね!
 私は彼らにお礼を言い、ホールの中に入っていく。


 『えー。リハーサル開始します!3・2・1!』

 「ハロー!皆さん!今夜はルジル・ランドのライブへときてくれてありがとう!それでは、最初の曲は今、大人気の“シルト出ておいで”だぁ!」


 
 「…わぁ」









チカチカと光きらめくライトは歌手を大きく浮かび上がらせた。

歌う歌手はそれを楽しそうに見つめながらシルト…を歌った。

これがライブ…

客席と舞台の間が近いのね。

と、言うよりこの椅子。危ないわね。

背もたれもないし、折り畳みじゃない。

こんなのどうやってすわるのよ。


こんなの見たことないわ。



赤のライトは歌手の周りを駆け回り、眩しすぎて目が潰れるほどの白い光は歌手の真上から照らし出す。

 青のライトはバックダンサーを照らす。

こった演出ね
でもなんだか広場で聞いたのと曲の音程が違う・・・



 「シルト~~~ぉ―――プッツン!―――





え?!


照明も音楽も消えた舞台は物静かになり、寂しさだけが残った。



みんな何もいえなかった。
 
 「…ルジル・ランドってオンチよね。やっぱり顔だけじゃん」

ヒソッと聞こえたのは色っぽい女の人の声だった。

やっぱり、さっきの“シルト”の所。


音が違った。
う~ん…あ

「ドの音が半音あがってたんだわ」