「―…ちゃん」 薄れる意識の中。 頭の中に声が響く。 「…オちゃん、ナオちゃん」 何度何度も名前を呼ばれる。 心地のよい暖かさと、揺れにゆっくり目を開けた。 「大丈夫…?」 目の前には、宗佐さんの笑顔があった。 そして、今自分が彼に抱っこされていることに気づく。 「……宗佐さん…なんで…」 ガンガン痛む頭をフル回転させても、全く訳がわからない。 「びっくりしたよ。君が廊下で倒れてたから」