その日の昼下がり。











内裏から少し離れた、貴族の屋敷。











桜吹雪がおきるなかで、ひそかに塀を乗り越え、人通りの少ない道に出る。











十二単なんて重いものは、着ず、軽やかで・・・











柔らかい衣。










少し裾が長いのは気になるが、ま、よしとしよう。










黒髪を高く括ると、そのまま桜とともに風の速さで走りだす。











彼女の名は・・・










紀月子。