月姫物語

「苦労などと思っておりませぬ。我が役目を心得ております。」













「その言葉を聴き、安心いたしましたよ。陽。」











ひやりと、背中を撫でる声が聞こえた。










「神出鬼没とは正にこのこと。賀茂殿、入られよ。」











母上が、苦笑して言った。











すっと襖が開き入ってきたのは、あの意地悪な微笑を浮かべる。














夜だった。