「…“アナタの美しい部位を下さい”……」


ふいに、野江田さんが呟いた。
野江田さんは、長い睫毛を伏せ、床を見つめている。


「私は、そう解釈致しましたわ。そう…まるで、美しき者への嫉妬心を剥き出しにした、醜い人間の言葉…」


嫉妬…?
確かに、そう受ける事は出来る。


「…これは、星歌に届いたのよ。殺される三日前に。元気のない星歌に声をかけたら、かの手紙を出して奮えだしたわ……“気持ち悪い”って…」


姫野さんは、付け加えるように話を続けた。


そうだったんだ…。
星歌、悩んでたんだね。
怖かったんだね。

気付いてあげられなかった。
私達、親友なのに…。
支え合う、存在なのに…。


「…下咲さん?」


気付くと、私の頬は涙で濡れていた。
コップから溢れ出た水のように、目から溢れる大粒の涙は、容赦なく私の胸をチクチクと痛めていく。