「だってひろ、1人になったらここで泣くんだろ?」
「泣かないわよ」
「ウソだ。絶対泣く」
『泣く』という行為を決めつけてかかる俺をひろは睨んだ。
「俊輔にどうしてそんなことが分かるの?
私が泣きたい、なんて勝手なこと言わないで」
「分かるよ。
だって俺、ひろのこといつだって見てるんだから」
「まるでストーカーね。」
ストーカーでも変質者でもなんとでも言えばいい。
だけど、俺はずっと、ひろを見てたんだ。
小学生の頃も。
そして…今も。
「俊輔、何か勘違いしてない?
例え、あんたが本当に私のことをずっと見てたとしても。
それがなんだって言うの?
私のすべてを知ってる、みたいな顔しないで」
そりゃあ分かんないよ、ひろ。
ひろの全てなんて分かるワケないだろ。
だってひろが、俺に『全て』を見せてくれないんだから。


