不器用なカノジョ。





図書室のドアの小窓から中の様子を覗いてみる。


案の定、ひろはいつもの席に座っていた。

でも、机に伏せていてどんな表情をしているのかは分からなかった。



【ガラガラガラ】



なるべくそっと開けたつもりだったか、

古くなって建てつけが悪いのかドアは思いの外、大きな音を立てながら開いた。



そうするとひろが顔を上げてこちらを見た。



「授業…始まったけど」


笑ってみせるがぎこちない笑顔になってしまった。



「ん…知ってる」

ひろはそう応え、俺から視線を外すと窓のほうに顔を向けた。



「なあ、ひろ」


呼びかけても反応はナシ。

ひろと微妙な距離を保ちながら話を始めた。