「先生。

今日、ひろ休みですよ?」


「知ってるよ」


「じゃあなんでここに来たんですか?」


ふっと笑う先生。



「もともと、ここは俺の隠れ家だったんだ。

そこに千尋が来るようになった。


だから、千尋が学校に来ようと来なかろうと俺はいつだって図書室に来るんだよ」


『千尋』そう呼ぶ先生が憎かった。

きっと、ひろは自分の名前をこの人に呼ばれる度にドキドキしているんだろう。



「で、俊輔くんはどうしてここに来たんだ?」


やっぱり、俺はこの人が憎い。

だって、今の表情。

絶対に俺がここに来た理由が分かってるはずなのに。

なのに、こういう質問を平気で投げかけてくるんだ。


「先生とサシで話してみたかったから」


「おぉ!嬉しいこと言ってくれんじゃん」


「けど」


「けど?」


「俺、先生と仲良くなる気、ないよ」


呆気に取られた表情を浮かべる先生。

だけどその顔はすぐに笑いに変わった。


なんで笑ってんだよ。



「おもしろいなあ、お前。

そんなはっきり言われると、逆にスッキリするよ」