図書室に着いたけど、

やっぱり誰もいなくて。


ひろの副担なら今日、ひろが休んでること知ってるはずだから、もしかしたら来ないかもしれない。

そんなことを思っているとケータイのバイブが鳴った。


開くとやっぱりひろからで。


『どちら様ですか?歩く口さん』


思わず苦笑。

『歩く口』なんて完全に俺だ、って気づいてんじゃん。



『どうも。歩く口こと古川俊輔です。

体調、どう?』


目には目を。

皮肉には皮肉を、ってな。


パチンとケータイを閉じると人影が目の前にあることに気付いた。



「いたなら声、かけてくださいよ」


「うん、ごめん」


そう言って先生…キョンちゃんは俺の前に座った。

そこは、ひろの指定席だった。



「どうだった?

俺の授業」


「あれ、授業って言うんですか?」


「そう言うなよ。

お前らにうまく乗せられてペラペラ喋っちゃったんだから」


先生は話してみると気さくな人で。

多分、めちゃくちゃいい人なんだろう。


そう思うとジェラシーが胸の中を渦巻いた。