不器用なカノジョ。





足を動かしながら考えるのはやっぱりさっきの健の言葉で。


ひろは…知ってんのかな。

自分の好きな人にカノジョがいる、ってこと。


もし、知らないならこれは、教えるべきことなんだろうか。

それとも、教えないべきなんだろうか。


ひろが好きな俺としては、

カノジョがいる、ってことを伝えてひろがキョンちゃんを諦めるように差し向けたいところだけど。


でも、それは心苦しい。

だって、ひろの落ち込む顔が俺の脳裏に浮かぶんだから。


じゃあ逆に。

もしひろがキョンちゃんに彼女がいるってことを知ってたら。


アイツはそれで…いいんだろうか。

叶わない、って分かってるのに、それでもキョンちゃんを想い続けているというんだろうか。


そんなの…そんなの…ひろが可哀そ過ぎるじゃねーか。

ひろが健気に想っているのに報われないなんてそんなの…残酷すぎるよ。


自分のことじゃないのに。

それなのに俺は、無性に泣きたくなった。