不器用なカノジョ。





「うるさいなあ!

いいだろ、別に」


ひろは涼しい顔で俺の目の前に座った。



「で、何の用?」


「ん?用なんてないけど」


ま、ウソなんだけどな。

用があってここに来たんだし。



「じゃあ教室戻ったら?

お昼、食べなきゃダメでしょ?」


「早弁したから問題ナシ。

ところでキョンちゃんは?」


弁当のフタを開けていたひろの手が一瞬止まって俺を見る。

だけどすぐにまた動きを再開して


「そういうことね」

と、呟く。



「何がそういうこと?」


「俊輔がここに来た理由よ」


さすがひろ。

俺のこと、よーく分かってんじゃん。



「そっか。

バレたなら仕方ないな。


そうだよ。

キョンちゃんが出張だ、

って知ったから俺はここに来たんだ」