「ウソ…だろ。
千尋が…教師に?」
さっきあった出来事を簡単に説明して、
多分、ひろは先生のことが好きなんだと思う。
そう言うと健は口をパクパクさせて驚いていた。
なんつー間抜けな顔してんだよ、おい。
「あの千尋が?
そんなん…信じられっかよ…」
「俺だって信じられねーよ。
あのひろが、教師に惚れるなんて。
だけどさ、俺は見たんだ。
この目で」
恋するひろの姿を。
はっきりと、見てしまったんだ。
その目は俺や健なんか見えてなくて。
ただ真っ直ぐに先生に注がれていた。
「おいおい。
ライバル…お前じゃないじゃん。
その、先生のほうが強敵じゃねーかよ」
「先生のほうはひろをどう思ってんのかは分かんないけど。
でも、多少は特別だと思ってると思う」
だってさ、あのとき、言ったんだ、先生は。
今日『は』先客がいるのか
って。
『は』ってことはいつもひろとメシ食べて、
普段、先客がいないことを知ってる、ってことだろ?
つーことは毎日1人の生徒とメシ食べるなんて、
その生徒をよっぽど『特別』って思ってる証拠じゃん。
俺の言ってること…間違ってるか?


