不器用なカノジョ。







それから俺と健はいっさい口を利くことはなくて。

アイツが部室に入って来るまで野球部の部室内は完全なる静寂だった。



「おー!早いな!お前ら!」


突然、ドアが開いて慎太郎と同じような空気を取り巻いたヤツが入ってきた。


先輩か?

とも思ったがどうやら違うらしい。


だって、あまりにも童顔だったから。



「あ!お前、古川俊輔だろ!

そんでお前は…堤健!」


…なんなんだ、コイツ。

多分、健と俺は同じことを思っていただろう。



「俺、誰か分かる?」


目をキラッキラに輝かせて自分の顔を指さしているコイツ。



「…ごめん、知らねえ」


そう言うと露骨に落ち込む童顔のコイツ。


なんか女みてぇだな。

コロコロ表情変わっちゃってさ。