「今、なんの時間か分かってんのか?」


後ろからクスクスと慎太郎の笑い声が聞こえる。

ぜってぇーあとでスネ蹴りくらわしてやる。



「も、もちろんです!テストですよね!

それも大切な学力テスト!」


「バカっ!声でけぇーよ!

お前が言うようにテスト中だっつーの!」


「あっ…あっ…すんません」


あーもうなんかダメだな。

俺、空回りしまくり。



「まあいいや。

とりあえず今はテストに集中しろ」


はい、と小さな声で返事をしてシャーペンを握る。

でもやっぱり…



「……ダメだ」


頭の中はひろの顔ばかりが浮かんで

目の前の単語なんて1つも入ってこない。


俺…こんなにひろに夢中で大丈夫か?

っていうかアイツがいけないんだよ。


こんなにも俺を夢中にさせるほど、

ひろが魅力的になってたから。


そうだ。

俺が悪いんじゃなくて

ひろが悪い!