不器用なカノジョ。





「え…いや、その…私…」


ひろの視線は定まらなくて。

どうやらパニックに陥ってるらしい。



「ひろ?

いいよ、今すぐ答え出そうとしてくれなくて。


ひろが俺のことそういうふうに見てないことくらい、分かってるから」


「……がうっ」


「え?」


「違うっ!!」


ひろは両手をギュッと握り、俺を真っ直ぐに見つめる。



「俊輔のこと…男の子として、ちゃんと意識してた」


「……っ…」


思ってもみなかった言葉に、俺は言葉を失った。



「…私も、なの」


「…え?」


「好きなの…」


一瞬、目を伏せたひろは、顔を真っ赤に染めたかと思うと、叫んだ。



「私、俊輔のこと…好きっ!」




その後、ひろがなぜか泣きだして。

慰めるのに苦労したけど。


でも、俺はどうしようもなく、幸せだと思った。


小学生から思い続けたその人が。

今日、俺を好きだと言ってくれた。


それがこんなに嬉しいことだと、

俺は初めて知った。



「あ、そうだ、ひろ」


「何よ?」


「さっきの言葉、訂正ね」


「さっきの言葉?」


「そう。ひろのこと、好きじゃない」


「はっ?!何それ?!」


「だって俺、ひろのこと大好き、だからさ」


「…バカ」


全世界の人に誓います。

顔を赤らめて俺を睨む、この人を。

俺は一生愛し続けます!










【END】

→あとがき