「え…?」
「俺にはできないと思ったけど。
でも、俊輔なら千尋を救えると思う」
「俺には…できないよ」
キョンちゃんができなかったことを俺ができるはず、ないじゃないか。
「俊輔、前に言っただろ。
今、千尋に1番近いのはお前だ、って」
「でも」
「俊輔、いい加減白黒はっきりさせるべきじゃないか?
いつまでお前は片想いしてるつもりだよ?
想いは口に出さなきゃ伝わらない。
大切なものは大切だ、って言わなきゃ分からないし
欲しいものは欲しい、そう言わなきゃいけない。
もっと、貪欲なっていんだぞ。
もっと、自信過剰になっていい。
俺には…とか俺じゃ…とかそういうのナシ。
俺にしかできない、そう思え」
「先生…」
「大丈夫。
この俺が言ってんだから。
きっと、うまくいくよ。
何もかも、うまくいく。」
キョンちゃんはそう言って爽やかな笑顔を浮かべた。
最初のころ、俺はキョンちゃんのその笑顔がキライだった。
でも今は、すげえ、好きだと思った。
そのキョンちゃんの笑顔に安心して。
「俺…行ってくる」
そう言い残して俺は世界中の誰よりも愛おしい人のもとへと走り出した…