「おい!お前が余分なこと言うからひろ、見失っただろ!」


気づくと廊下に溢れていた人はかなり少なくなり、ひろの姿もなくなっていた。



「俺のせいじゃねぇーし。

ま、諦めたら?

俊輔、ひろちゃんに相手にされてないワケだしさ」


ククッと笑う慎太郎。

もう1発スネ蹴りをお見舞いしてやろうと思ったが



「あ!おい!俊輔!どうしたんだよ?!」


廊下の窓の向こう側にひろを見つけた。

俺は走ってひろを追いかける。



「……ひろっ!」


少し乱れた呼吸を整える。

後ろから慎太郎が来るのが目の端に映った。



「…………………」



「なぁ、ひろってば」


肩に手を置こうとしてやめた。

朝の二の舞になるのは御免だ。



「いい加減、無視すんのやめろよ」


俺は正面に回り込んだ。


すると


「……どいて」


思いっきり冷たい言葉と思いっきり冷たい視線が俺へ突き刺さった。



まあ、これくらい…想定内、だったよ