不器用なカノジョ。





「じゃあ、終わり」


「ありがとうございました」


「「ありがとうございましたーっ」」


あれから約1時間後。

ミーティングを終え、解散になったのは6時を過ぎた頃だった。


いるはずがない、というのは分かっていたが一応、武道場に行ってみる。


そうするとちょうど、中からひろの先輩かと思われる男たちが出てきた。



「あのー…すみません。

高岡千尋って…」


「あー…高岡ね。

帰った…つーか帰らされたよ」


「えっ?帰らされた?」


それ、どういう意味だ?


「まあ、仕方ない。

あんな負け方したんだ。


すっげー落ち込んでて、顧問に帰れ、って言われてな」


「そうそう。

可哀想だったな」


「あの…あんな負け方、っていうのは?」


胸がざわつく。

ドクドクと鼓動の音が大きくなる。



「いやあ、さ。

高岡、すげえ強いから敵なしだと思ってたんだ。


誰もが高岡が優勝するもんだと思ってたんだけど。

でもアイツ…1回戦でキレイに一本とられちゃったんだよ」