「うおぉ…」
「なんだよ、その気の抜けた声。
俊輔、すげぇアホっぽいな」
「バカ野郎!誰がアホだ!
俺は天才だぞ!」
「天才って言うヤツに限ってドアホなんだよ」
「ドアホって言うな!俺は天才だ!」
と、まあこんな『ドアホ』丸出しの会話をしているのはもちろん、俺と慎太郎だ。
武藤先生のホームルームが終わり、俺と慎太郎は1年A組の前にいた。
うちの学校の校舎はムダに横に長く、
そのおかげでA組から我らがG組まで横にズラーっと並んでいる。
他の教室はまだホームルームが終わっていないらしく、廊下はしんと静まりかえっていた。
そんな廊下でこのやり取り。
完全に俺たちは迷惑者だ。
ドアのちょっとしたガラスの奥から当たり前のようにA組の担任らしき人に睨まれた。
そしてきっと、中のひろは溜め息をついているだろう。
「ちょっとは静かにしろよな、慎太郎」
「静かにするのはおめーのほうだ!」
「いや!慎太郎の方が声がデカかった!」
「何言ってんだよ!俊輔のほうが…「どっちもうるさい!」
痺れを切らしたのか俺と慎太郎の言い争いに入って来たのはさきほど俺たちを睨んでいたA組の担任だった。
「「…すいません」」
2人して小さな声で頭を下げたことは言うまでもないだろう。


