『…AB…型?』
お父さんの顔つきが変わった。
『明海さんの血液はAB型です。』
看護婦さんはきっぱりと言い放つ。
確か、お父さんはA型
お母さんもA型
そして、私はO型だ。
『この中にAB型はおりません…』
お母さんは俯いてそう答える。
『そうですか』
看護婦さんはまた手術室へと戻って行く。
『…おい』
お父さんのいつもより低い声が廊下に響く。
『どういうことだ?
なんで…っ…なんで明海はAB型なんだ?!』
え?どういうこと…?
同時、中学2年だった私には何がなんだかさっぱりだ。
『…ごめんなさい、あなた…』
お母さんはそう言うと嗚咽をもらし、涙を零し始めた。
その後、私は知った。
A型の両親からAB型の子どもは生まれない。


