不器用なカノジョ。





「それ、どういう意味だ?

俺が怖そうだか無視するヤツなんていないだろう、とか?」



「と、とんでもない!」


首を横に振る。



「先生のありがたいお言葉を無視するヤツなんていない!

って意味です!」


クラスからクスクスと聞こえる小さな笑い声。


武藤先生はじーっと俺を怖い顔で見たあと、

急に顔の筋肉を緩め、ニヤッと笑った。



「お前、なかなかおもしろいな」


………え?

俺、好感触?


しかも…怖いって思ってたけど案外、そうでもないのか?


先生はそのままHRを続けた。


何を言っていたかはそんなに聞いていなかった。



だってさ、やっぱり俺の頭の中はアイツだらけで。


3年ぶりに会ったひろは…

昔と変わらず、愛想の欠片もなくて。


だけど、俺の中のたった1人のマドンナだから。



よし、決めた。

俺の今の目標。


1日、1回でも多くひろを笑わそう。

めったに笑わないひろだけど。

アイツの笑顔は…まるで太陽みたいだから。


俺はそれを見て、癒される。

だから、1回でもたくさん、ひろに笑ってもらおう。