「ホント、腹が立つよ」


「え?」


「腹が立つけど…でもやっぱり千尋はいいオンナだ」


なぜかふっと小さく笑う健。



「千尋に言われてさ。

もうダメなんだな、って思った。

俺のこのキモチはもう千尋に届かないんだ、って認めざる終えなかった。


だから、俺は千尋のこと、諦めることにした。

それが千尋と向き合って出した俺の答え。」


健は道具を持って立ち上がる。



「俊輔さあ。

千尋といつも真っ直ぐに向き合ってぶつかってるように見えるけど。


でも俺からしたらお前はいつだって千尋から逃げてるよ。

ちゃんと、言いたいこと言って、聞きたいこと、聞けよ。


それが結果的に千尋が離れることになったとしても。

それでも、伝えたいことはちゃんと伝えろ。


後悔すんぞ、間違いなく。」


じゃ、お先。

そう言って健は部室を出て行く。


なんなんだ、アイツは。

結局俺のこと、応援してくれんのか?


ひろのこと諦める、って言ってたけど。

あれ、マジなのか?


あまりに健が一方的に喋ったせいで俺は何1つ疑問を解決することができなかった。

でも、健が伝えたいことは伝わった。


…しゃーねーな。

お前の顔に免じて、ひろと思いっきりぶつかってやろーじゃん。